2024年7月、チェコ・プラハで開催された国際心理学会議(International Congress of Psychology, ICP)に参加し、口頭発表を行いました。
本記事では、その記録を兼ねて、学会の様子やプラハ滞在について振り返ります。

プラハの街の様子。
歴史的建造物がたくさん残っており、多くの観光客が訪れていました。
由緒ある国際大会に再び参加
国際心理学会議は1898年に始まり、以降4年ごとに世界各地で開催されています。
初回にはジークムント・フロイトも参加したと言われる、歴史ある大会です。
私は2016年の横浜大会にはボランティアとして参加し、2021年(新型コロナウィルスの影響で2020年開催予定が延期)にはオンライン発表を行いました。
2022年のコラムではその経験について書いています。
今回、私は「新型コロナ感染症の流行期間中の日本の中学生のQOLについて」という題目で発表しました。
私がスクールカウンセラーとして勤務する中学校で、2021年から2023年までの3年a間にわたり中学1年生約700人を対象に実施した質問紙調査の結果をまとめたものです。
幸いなことに、この発表は日本心理臨床学会の国際学会助成を受けることができました。

口頭発表しているところ。
スライドを読んでいるだけですが・・・
会議の運営と発表の選択肢
大会発表者は専用アプリを通じてプログラムの確認や、他の参加者との連絡が可能でした。
登録者は約3000人でしたが、横浜大会では8000人でしたから、今回はずいぶん少なかったと思います。
この大会は心理学のあらゆる領域を網羅しており、発表者は104のテーマから選択できます。
そのため、多岐にわたる演題の中から興味のある発表を探すのは容易ではありませんでした。
発表数は1,500件に及びましたが、その中で私が選んだ「学校・教育心理学」領域の発表はわずか17件でした。
その中で特に印象的だったのは、オーストラリアのスクールカウンセラーに関する発表です。
発表者とお話する機会があり、オーストラリアでは小規模校をのぞき、スクールカウンセラーは常勤であることを知りました。
日本では非常勤のカウンセラーが多い現状と比べると、非常にうらやましく感じました。

会場の不便さと運営の課題
今回の大会会場は、プラハの中心地から地下鉄で約20分の距離にあるアリーナでした。
通常の学術大会では、総合受付には全日程の掲示があり、各発表会場にもプログラムが表示されるものですが、今回の大会ではそのような案内が一切なく、やや不親切に感じました。
さらに、会場内の飲食店は大会側が用意した店が2軒のみ、飲食スペースも非常に限られていたため、利便性の面でも大きな課題があったように思います。
特に参加費が高額であったことを考えると、もう少しサービスの向上が求められるのではないかと感じました。

大会会場となっているアリーナ。
プラハ中心地から地下鉄で20分ほど。
閑散とした所です。
プラハの街を歩く:歴史と美しさ
学会の合間にはプラハの街を散策する時間もありました。
約1週間滞在し、観光も楽しむことができました。
チェコは15世紀にカトリックを国教と定めたことでヨーロッパの一員として発展し、その過程でイタリア人の建築家を招いて数多くの美しい教会が建てられました。
そのため、街並みはフィレンツェに似た雰囲気を感じさせます。
7月のプラハは気候が穏やかで快適であり、散策には絶好のコンディションでした。
石畳の道を歩きながら、歴史ある建物を巡る時間はとても充実していました。

ホテルの近くにあった「カフカの頭」。時々、段々がずれて動きます。
まとめ:学会参加を終えて
今回の国際心理学会議への参加は、学術的な発表の機会として非常に貴重なものでした。
自身の研究を国際的に発信する場としての意義を感じるとともに、オーストラリアのカウンセラー制度など、海外の教育現場の実情を知る機会にもなりました。
プラハの歴史と文化に触れることができたことは大きな収穫でした。
今後も国際学会に積極的に参加し、より広い支店で心理学と教育に関する知見を深めていきたいと思います。

口頭発表者に送られた証明書