ペアレント・トレーニングにはどのような効果があるのでしょうか

 

Q. ペアレント・トレーニング講座に参加を考えています。

ペアレント・トレーニングにはどのような効果があるのでしょうか。

 

A.これまで参加した親御さんとお子さんとの関わりに良い変化が起きるという結果が得られています。またお子さんの行動にも良い変化が起きることが期待できます。

 

ペアレント・トレーニング(以下ペアトレ)とは、子育て中の方が、子どもの良い行動を増やすスキルを学ぶ講座です。保育士・教師などが対象になるものもあります。親子がより信頼しあえる関係を作ることを目指しています。

 

ペアレント・トレーニングの効果①

当機関ではペアトレ講座の参加者に、講座の前後で“PNPS肯定的・否定的養育尺度”というアンケートへの記入をお願いし、ペアトレ講座の効果(正確には養育者の養育行動の変化)を検証しています。

アンケートの結果は、参加者にもフィードバックさせていただいています。

 

当機関では過去に3クールのペアトレ講座を実施しました。

これらの講座への参加者からいただいた“PNPS “のデータを分析したところ、次のような結果を得ました。

 

1.講座後では肯定的な養育行動が増え、否定的な養育行動が減りました。(専門的な表現を用いると、どちらにおいても統計的な有意差がみられました)

2.各クールの参加人数が少ないため、より効果が出やすいことが考えられました。

 

 

参加者のみなさんが熱心に学び、宿題に取り組んでくださったことで上のような結果が得られたのだと思います。

 

 

ペアレント・トレーニングの効果②

当機関ではPNPSのほかに、もうひとつのアンケートも参加者にお願いしています。

“子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)”というもので、こちらは子どもの行動の変化を確認することを目的としています。

 

SDQの結果を講座の前後で比較すると次のようなことがわかりました。(1.2.どちらにおいても統計的な有意差が得られています)

1.子どもの問題行動(「総合的困難さ」)が減った。

2.子どもが他者と関わる行動(「子どもの向社会的な行動」)が増えた。

 

このようにペアトレ講座での学びによって養育者の子どもとの関わり方が変化したことで、子どもの行動にも良い変化が起きたと考えられます。

 

なお上記の結果については、参加者のご了解を得た上で、20236月に韓国ソウルで行われた世界認知行動療法にてポスター発表しました。

これについては前のコラムでもお伝えしたとおりです。

 

 

フォローアップ・ミーティング; ペアトレのスキルを続けて実践していくために

 

以上のように、ペアトレ講座は親御さんの養育行動と子どもの行動に良い変化を起こすことが確認できています。

しかしその変化は十分とは言えないかもしれませんし、せっかくペアトレで学んだスキルを講座が終わったら使わなくなってしまうのももったいない話です。

そこでフォローアップミーティングを3~4ヶ月に1回、行っています。

 

スケジュールや内容は参加者のご希望で決めており、参加は自由です。

お子さんの最近の成長の様子や、困っていることを共有します。

他の方のお話を聞くことで気づきがあったり、役に立ったりするとのお声をうかがっています。

 

以上、ペアトレ講座の効果とその限界についてお伝えしました。

参考になりましたら幸いです。

 

(竹田)