Q. 漢字の宿題が大変で、毎日、親子けんかになってしまいます。
A.宿題の量を減らす、宿題をなしにする、などの対応を学校にお願いしましょう。
発達特性があるために漢字の読み書きが苦手な子どもがいます。
漢字の読み書き以外にも、学校生活でこんな困り事を抱えていないでしょうか。
・ 漢字を書く・筆算・作文などが苦手
・板書をノートに写せない、写すのに時間がかかる
・個別の声かけがないと提出物が出せない
・場面の切り替えに時間がかかる
・忘れ物が多い
このような困り事を抱えている子どもに個別のサポートを学校にお願いすることができます。
個別のサポートを「合理的配慮」といいます。
合理的配慮の例
例えば「漢字を読む・書くことが苦子ども子どもに対して、次のような合理的配慮が考えられます。
・漢字の宿題の量を減らす、または”なし”にする
・テストの回答は平仮名で書いてもよいことにする
・テスト問題の漢字にルビを振ってもらう
合理的配慮を学校にお願いするにあたっては、知能検査(WISC-ⅣまたはWISC-Ⅴのレポート、医師の診断書のような客観的な資料があると学校の理解を得やすいです。
しかし小学校・中学校ではこのような資料が必ずしも必要なわけではありません。
合理的配慮の進め方
合理的配慮は、保護者から学校に申請するところがスタートです。
1.保護者から学校へ、合理的配慮を受けたいことを伝える
2.保護者(と本人)と学校が具体的な配慮の方法を話し合う
3.個別支援計画(後述)を作成する
4.半年ごと、または1年ごとに個別支援計画を見直す
合理的配慮を申請するべきなのか、どのような対応をしてもらうのがよいかが、などは保護者だけで考えるのは難しいと思います。
まずはスクールカウンセラーや、学校にいる特別支援コーデュネーター(多くは通級・固定学級の担任が兼任しています)に相談するとよいと思います。
市町村の教育相談室に相談するのもよいでしょう。
サポートファイルを作りましょう
「個別支援計画」とは、どのような配慮を学校が行っていくのかが示されている文書(A4・1枚から数枚のもの)です。
保護者と学校が話し合って作成します。
一度「個別支援計画」を作成したら、在籍している学校を卒業するまで更新していくことになります。
市町村の障害福祉課で、ファイルをもらって「個別支援計画」を綴じましょう。
ファイルには、知能検査の結果なども綴じておくとよいでしょう。
自治体によって「サポート手帳(埼玉県)」「ライフサポートファイル(千葉県)」などの愛称がつけられています。
子ども本人の了解を得て進めましょう
例えば、テスト問題の漢字にルビを振ってもらう配慮を受ける場合、その子どもが配慮を受けていることを他の子どもにも知られてしまいます。
そのことを配慮を受ける子ども本人が負担に思うことがあるかもしれません。
配慮申請をするのか、配慮の方法は納得できるものか、子ども本人の考えを確認することが重要です。
とくに思春期の子どもは周囲から自分がどう見られているかに敏感ですから、丁寧に子どもと話し合いましょう。
(竹田)
参考資料:
・・・埼玉県在住の方が利用できるファイルです。乳児期から就労期まで受けてきた支援の内容が支援に関わる方で共有できるよう活用します。ライフステージのどの段階からでも利用できます。
・・・LITALICOの資料です。合理的配慮の考え方から、学校に合理的配慮を申請する手順までが一般の方にも理解しやすいようなわかりやすい言葉で説明されています。
独立行政法人 国立特別支援教育研究所 発達障害教育視線センター
・・・発達障害の障害別に具体的な合理的配慮の例が示されています。
セミナー「小・中学校における合配慮ー子どもの未来へ繋げる支援」を2022年10月8日(土)にオンラインで実施しました。
来てくださったほとんどの方は、現役スクールカウンセラーでした。
(匿名・カメラoffの参加だったため、お声かけにお答え下さった方からのみの情報ですが)
保護者の方にもご参加いただけるよう、内容をよりわかりやすく編集してまた実施したいと考えています。