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米国ベック研究所へ行ったこと

 

「ベック研究所 (Beck Institute)」は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアにあり、認知行動療法(以下CBT) の理論的基礎を作ったアーロン・ベック先生の長女、ジュディス・ベック先生が代表を務めるNPOです。

 

研究所のホームページによれば、「認知行動療法によって世界中の人々の生活向上を目指し」、カウンセリング、医療、研修を提供しています。

 

一般の方に向けて簡単に説明しますと、認知行動療法とは心理療法のアプローチのひとつで、認知と行動の変容によって問題解決を図ります。

うつ病、不安障害、統合失調症などへの有効性がアメリカ、イギリスを始め、世界中で認められており、日本でも2010年から医療機関でうつ病などの治療に用いる場合に健康保険が適用可能となりました。

つまりCBTは、専門的なカウセリングを提供したいと思うカウンセラーにとっては必ず身につけておきたいアプローチのなのです。

 

もう6年前になってしまいましたが、ベック研究所にて学ぶ機会があったのでコラム書いてみました。

何のウンチクもない文章ですが、よろしければお読みください。

 

 

ベック研究所が入っているビル。

講師の先生、ジュディス先生のことなど

20171016日~18日にかけ、「青少年の困った問題に対する認知行動療法(CBT for challenging problems in youth)」を受講するため、ひとりでアメリカへ飛びました。

講師はTorrey A.Creed先生、彼女はペンシルバニア州立大学で主に研究をしていらっしゃるようです。

講義の内容は、児童期から思春期の子どもの不登校、発達障害などへのCBTを用いた対応です。

 

参加者は約20名で、外国人は私を含めて5人、ほとんどがアメリカ国内から来た方々、療育機関に勤務している心理士さんや作業療法士さんたちでした。

日本人は私ひとりです。

 

ジュディス先生が進行役を務めてくださるのですが、いつも明るい笑顔で話され、ユーモアもあって親しみやすい方です。

 

私は海外在住経験があり、英語を使う機会も多かったため、講義もそこそこ理解できるつもりだったのですが、甘かったようです。

パワポやレジメの内容は盛り沢山で私が読みきらないうちに話が進んでしまうし、アメリカ人は果てしなく続くかと思われるほど先生に質問をするので、それを聞いているのも大変でした。

3日間とも、1時間も講義を聞いているとヘトヘトになってしまいました。

 

 

ベック研究所の入り口。

研究所の中は撮影禁止です。

20畳くらいのミーティングルームで講義が行われましたが、その他にカウンセリングのお部屋がいくつかあるようでした。

アーロン先生にお会いする

3日目の午後、いよいよアーロン・ベック先生が登場、参加者演じるクライエントを相手にアーロン先生がカウンセラー役になってロールプレイです。

このためにアメリカまで来たといっても過言ではないのに、なんと私は時差ぼけに負け、この貴重な学びをほとんど聞き逃してしまいました。

最後にアーロン先生が「どのケースでもフォーミュレーションをきちんとしてくださいね」とおっしゃったところでようやく目が覚めました。

 

アーロン先生は、物静かな学者タイプの方で、たいへんにソフトなお声でお話をなさいます。(だから眠くなっちゃう)

この時は車椅子を使用していらして、お体が弱っていらっしゃるようにお見受けしましたが、これから5年後の2022年にお亡くなりになりました。

もはや先生にお会いすることはできないのですから、この経験は私の宝です。

 

研修の最後に「一番遠くから参加した人」という理由で研究所のマークが入った手提げをいただきました。

寝てばかりいたので気の毒に思ってくださったのかもしれません。

 

ごほうびにいただいた手提げ

さいごに

こうして振り返ると、わざわざ人様にお話するようなものでもないのですが、これから研究所へ行ってみようと思う方の参考になれば幸いです。

 

研修を終え、翌日は少し離れた公立高校へ特別支援教育に携わる古い友人を訪ねました。

日本と米国の特別支援教育の違いを見ることができたのですが、そのことについてはまたいつか書いてみようと思います。

(竹田)

 

 

【ベック研究所までのアクセス】

日本からフィラデルフィアへの直行便はないため、シカゴ、デンバー、ダラスなどでローカル便への乗り換えが必要です。

フィラデルフィア空港からは、タクシースタンドでタクシーを拾い、研究所最寄りのホテル(ヒルトンがお勧め)まで約20分。帰路のホテルから空港までは、ホテルでタクシーを呼んでもらいましょう。

研究所付近は治安が良く、タクシーも安心して乗れます。