「子ども部屋や、子どもの机まわりがいつも散らかっているので困っている」というご相談をよくお聞きします。
この行動にはいくつかの背景が考えられます。
それぞれの対応について書いてみました。
①片づけをする余裕がない?
《考えられる背景》
子どもが小学校高学年から中学・高校生なら、部活動や塾、習い事などに忙しく、家にいても気持ちや時間の余裕がないのかもしれません。
体力があまりない子どもや、のんびり屋さんにはとくにあてはまるでしょう。
《対応》
日々のスケジュールとお子さんの力とのバランスについて見直してみましょう。
毎日が忙しすぎて、お子さんがストレスを感じている可能性もあります。
忘れ物が多かったり、お子さんがイライラすることがよくあるようなら、生活を見直す必要があるでしょう。
②自立心が育っていない?
《考えられる背景》
保護者がお子さんに代わって片づけをしてしまっていませんか。
自分で片づける必要がないと思えば、子どもは自分から動きません。
《対応》
中学生になったら自分の持ち物は自分で管理させましょう。
まず持ち物の管理は子ども自身にしてほしいと伝え、その後は見守りましょう。
自分の部屋をどのように使うかは子どもに任せ、親は完璧を求めないようにしましょう。
持ち物の量と収納場所のバランスは取れているでしょうか。
子どもが成長すれば服のサイズが大きくなり、より広い収納が必要になるでしょう。
また学年が進むと、学校や習い事で使う持ち物が増えていきます。
その上に子どもの趣味の物が増えてしまうこともあるでしょう。
物が多くなりすぎていないか、もう使わなくなった物がないか、時々、確認することも必要かもしれません。
子どもが夢中になれることがあって、部屋の片づけの優先順位が低ければ、部屋は散らかったままになっているかもしれません。
子どもが困っていなければ、親はそれを問題と捉える必要もないかもしれません。
③発達特性により片づけることが苦手だから?
《考えられる背景》
私たちはおもに目と耳から取り入れた情報を頼りに生活しています。
発達の偏りがあると、目と耳のどちらかから(または両方から)入る情報の処理に困難が生じることがあります。
忘れ物が多い、ノートを書くのが苦手、持ち物を揃えられない、場面によって集中力が続きにくい、手先の不器用さなど、片づけのほかにも困った行動が見られるでしょうか。
そのような困った行動がいろいろ見られる場合、叱るという対応だけでは片づけの問題は解決できないでしょう。
目からの情報が入りやすくなる手立てを工夫してみましょう。
《対応》
親子で一緒に持ち物を分類して置き場所を決めます。
引き出しや棚に、物の写真や絵を貼っておけば、一目でどこへ片づければよいかがわかり、片づけが容易になるでしょう。
WISCを受けていて、その結果で知覚推理が弱い子どもには、このような対応が有効と考えられます。
ワーキングメモリーが弱い子どもには、持ち物の数を減らすことを考えましょう。
処理速度が弱い子どもには、細かいものは大きな箱にざっくり収納すれば良いことにしましょう。