「カウンセリングって何をするの?」という声をよく聞きます。カウンセリングについて知っていただくために、カウンセリングを”家の中の片づけ”に例えてみました。文中の”片づけ”を”カウンセリング”に置き換えてお読みください。
溜まった物(=気持ち)の整理
家の中に物が溢れ、どうやって整理したらよいかわからず困っている人。その人の家に片づけの専門家が来てサポートしてくれる、というTV番組が好きでよく観ています。専門家にサポートをお願いする人には、さまざまな事情があるようです。
・巣立った子どもの部屋がそのままで、要らなくなった物がいっぱい
・年老いて介護が必要になった親と同居することになり、家の中を整理して暮らしやすくしたい
・仕事で忙しく過ごすうち、いつのまにか家中に物が溢れてしまい、困っている
人生のステージが進み、これまでの生活を見直したり、新しい一歩を踏み出したりするために片づけが必要になるタイミングがあるのでしょう。
片づけには時間がかかる
番組では、十分な時間をかけて片づけを行っています。それは、たとえ要らないように見える物でも、いざ手放すとなると寂しくなったり、優先順位をどうつけて整理したら良いかわからなかったり、いつか必要な時が来るかもしれないから取っておいた方がよいかもと不安になったり、片づけの過程でさまざまな感情が起きて、依頼者がその感情と向き合わなければならなくなるからなのですが、これこそが片づけにまつわるお悩みの本質的な部分のように思います。
何らかの”変化”を経験するとき、たとえそれがより良いものを目指すためであったとしても、新しい状況への期待とともに、未知への不安も起きてくるものです。ですから持ち物の整理(=気持ちの整理)にはじっくりと時間を取り、本人が納得することがとても大切だと思います。専門家なら、あれこれ口をはさまずに本人の気持ちが変わるのをゆっくり待つことができるでしょう。
専門家に相談して片づけるワケ
仮に片づけをするときに、家族や知人に相談したらどうなるでしょう?
物の価値については、人それぞれの捉え方があり、自分にとって大切に思える物も、他人にはそうは見えないことも多々ありますよね。家族に相談すれば「そんな物、さっさと捨ててしまったら?」と言われてしまうかもしれません。また知人に相談し、逆に知人の主観や価値観を主張されて、「わかってもらえない」という思いをしてしまう可能性もあります。
このことから、相談する相手が専門家であることの意味が見えてきませんか。専門家は第三者ですから、中立的・客観的な立場からサポートしてくれるでしょう。自分の価値観を尊重してもらい、不安や迷いが生じたときはそれにじっくりつき合ってもらい、ゆっくりとせかされることなく片づけの作業を進めていけるのではないでしょうか。
さいごに
カウンセリングとは、ご相談にいらした方がカウンセリングを通してどうなりたいのかをうかがい、目標に向かってどう行動するかをカウンセラーがご一緒に考えていく作業のことです。上の例えでカウンセリングについてご理解いただけましたら幸いです。(竹田)